戦刻ナイトブラッド(ネタバレ)

 8月16日に上演開始した本作、原作はアプリゲームだが、マーベラスKADOKAWAオトメイトの合同企画であること、ゲームキャストのうち数人がいわゆる「2.5」によく出演している俳優であったことから、舞台化は既定路線であったと思われる。ゲーム配信開始が2017年5月29日、10月からアニメ放送、12月に舞台化が発表されている(https://natalie.mu/stage/news/260199)ことからも、この一連のプロジェクトの概要が伺える。


 さて、そんな経緯で始まった舞台戦刻ナイトブラッドであるが、名の知れたキャストが多く、何をやっても平均以上に上手い。ビジュアルレベルも高く、舞台上に並ぶだけで様になる。衣装も凝ってて舞台映えする。はっきり言ってカッコイイ。(公演10日前に発表され物議を醸した)ヒロインは、芝居も身のこなしも上手い。日程は8月の銀河劇場。学生さんは夏休みだ。上演に必要なピースは準備されているように思われる。

 ところが、このパズルのピースを繋ぎ合わせる脚本と演出が何とも「おもしろい」のである。

 冒頭でゲームのオープニング風のキャラ紹介がある。丁寧である。客席を埋める顧客は俳優のオタクが多そうだ、というのを念頭に置いた配慮かと思ったが真相は分からない。

 3陣営12人に2時間で役割と出番を与えるため、ヒロインは猛烈な速さで連れ去られる。乙女ゲームの攻略対象が次々に登場し、武将とヒロインの距離が近づく→連れ去りを繰り返していく。「ヒロインの血を飲むと覚醒する」設定を明らかにするための、「多くの登場人物の前で」「血をうっかり飲む」展開があり、その後すったもんだするのだが、主人公を連れ去る武将たち宜しく強引である。乙女ゲームだからね。強引なキャラも人気あるよね。

 殺陣もある。しかしキャラ同士に明確な勝敗を着けるわけにもいかず、最終的に共通の敵「厄魔」と闘う。この「厄魔」がスゴイ。スゴイ点はいろいろあるのだが、ラスボスとして登場する巨大厄魔が最もスゴイ。「封印されし者の右腕」を思い出した。全部のパーツを集めてほしい。子供の頃遊園地で見たヒーローショーも思い出した。ノスタルジーに訴えかけてくる。

 これらの演出のいいところは「分かりやすい」ことである。対立構造、主人公の血の力、敵の巨大化、状況の説明を丁寧にしてくれるので、とにかく分かりやすい。

  そしてキャラソンを歌って踊る。もちろん歌ったっていい。上手い。曲もいい。おそらくフルサイズなので結構な尺がある。あんステのライブシーンくらい突然当然のように始まる。各陣営ごとに登場するが3人しかいない上杉は先に景勝のソロがあり、結果謙信が歌って直江兼続が躍る。2人とも上手い。とても上手い。そう、本当に上手いのだ……。個人的には秀吉の変幻自在が好き。

 

 ともかく、やらなきゃならない要素が渋滞しているのである。

 ゲーム設定とアニメに準拠しつつ、12キャラに見せ場を作り、乙女ゲーム要素を盛り、しかしキャラ同士の勝敗は着けず、ルートも絞らず、殺陣もやりたい、歌って踊らせたい などなどを2時間に収めたぞ!よろしくな!!!

 

 観劇後電車に揺られながら、以前自分の仕事で新プロジェクト立ち上げに関わった際(一応断っておくが舞台とは一切無関係)、多くの期待と意思と思惑が詰め込まれた結果、落としどころに苦労したことを思い出した。

 いや今回は知らんけど。

 

 あれこれ書いたが、役者の能力は高い。見栄えがする。誰を見てもどこを見ても楽しめる。キャラクターもかわいい。とりあえず丹羽長秀を攻略したい。

 戦刻ナイトブラッド、銀河劇場で8月26日まで。