アイドルオタクが舞台俳優に嵌った話

 ここ数年、厳密にいうと7年近く、アイドルオタクをしていた。「アイドルオタク」といってもいわゆる在宅ファンで、握手会には行かず、時々の大型コンサートくらいしか足をのばさなかったので、アイドルオタクと自称できるかは微妙である。

 しかし、メンバーの出演情報や新曲の序列、MVの出来、公演やテレビ番組での発言は毎日チェックしていたので、少なくともファンではあったと思う。*1

 「一推し」は総選挙でも上位に来る人気メンバーで、ドラマ「マジすか学園」をたまたま見て、最初は顔を気に入った。その後歌声も好きになり(てもでもの涙インパクトが強烈だった。と書くと、誰のことかすぐに分かるだろうけど)、以来一推しである。

彼女が別格上位で不動、二推しは集団になっており、そのときどきによって入れ替わる。

 正直、このグループが世に出てきたときは全く、全く好感を抱いていなかった。年末の歌番組で見たときには、「こんなに大勢の女の子集めて、躍らせて、キモイ」が率直な感想。今でも、大人数すぎるときは同じような感想を持つことがあるので、できればメンバーを曲ごとに交代するなど人数調整してほしい。

 それでも好きになったのは、ちゃんと曲を聴いてみたら気に入ったからである。先に挙げたてもでも、そばかすのキス、回遊魚のキャパシティ、転がる石になれ、only today、hate などなど、挙げればキリがないくらい、好きな曲がたくさんある。

 そんなこんなで、一推し以外のメンバーも結構みんな好き、くらいのスタンスでいたのだけど(何年か前に、このグループは「ハイコンテクストアイドル」だ、と書いていたブログ記事を読んだことがある。メンバー同士の横のつながりと物語性でファンを惹きつける、みたいなニュアンスだったと記憶しているが、これには同意します。ストーリーは少年漫画だと思っている。そして、メンバーの多さを武器に、情報量で勝負!みたいなとこあると思う。毎日何らかの情報投下があるから、消費し尽くせない。たとえ消費しても後から後から新しい燃料が来て、ファンを続けることができる)、ここ一年くらいは、一推しにしかお金払いたくないかも、と思えてきた。ソロデビューもして、ソロコンサートもある。スキャンダルもあったけど、「ファンの前で」アイドル像を作っている姿が一番好ましかったので、写真週刊誌に撮られた、とかはあんまりショックではなかった。迂闊だな、とは思ったが。

 というわけで、そろそろ卒業しないかな、なんて思い始めていた。ソロ歌手になったら、今より見る機会が減るだろうからこの温度を持続できるだろうか?という疑問はあったが、そうなればとにかく彼女にだけお金を落とせるから。グループの中で便利屋的に扱われて、初センターのMVに全然映ってない、みたいな使われ方にいい加減ファンとしても疲れていた。

 しかし卒業の気配はない。恐らく、我々が知り得ない色々があるのだとは思う。ここまで来たら10周年までいるだろうし。

 と思っていたら、全然別の方角から風が吹いて、いわゆる「推し変」してしまった。

 舞台俳優に嵌った。メンバーでも別のアイドルでもないから厳密には「推し変」ではないのかもしれないが、これは私の中では紛れもない「推し変」なのである。

 衝撃だった。こんな日が来るとは思っていなかった。来るとしても、彼女がアイドルグループを卒業してからのことだと思っていた。

 舞台俳優界隈に来て驚いたことは、「すごい放任されている」である。大手事務所?の俳優も結構いるのだが、Twitterやインスタグラムにプライベート写真を載せる。その俳優の彼女も似たような写真を載せる。そして炎上。アイドルたちも裏アカウントが流出、なんてことがあるが、さすがにファンが見ている表のアカウントでここまでやるのはほとんどいないような(全くいないとは全く言っていない)。メンバー同士で行動することも多いので、テーマパークに行きました、という写真もメンバー同士で撮影できることも関係しているかもしれない。舞台俳優たちは、舞台ごとに一日を共に過ごす相手が変わるわけだから。

 そして面白いのは、用語が地下アイドル+大手男性アイドルのミックス。いや、「推し」はもはや一般名詞として用いられているので(「推しメン」と言ったら、一般人には、「メンって何?」と言われた。「推し」だけだと通じた)、厳密には違うかもしれない。ファンをやめることを推しを「下りる」というようだが、この「下りる」、どうやら男性アイドル界隈で「担下り」というらしいので、そこから来ているのだろう。

 

 アイドルファン時代は、アイドルたちが舞台に出ることをファン含む関係者は快く思っていないだろうな、と察していたし、実際に舞台好きの知人とそういう会話をしたこともある。そして自分が見るようになってみると、確かに現役・元合わせて結構出会う。あ、卒業したあの子、ここで元気にやってたんだな。なんて思えるのでそれほど嫌悪感なく受け入れられるが、何この女、くらいに思われても仕方ない部分はあると思うので(私も自分がファンになる前は好感を抱いてなかったし)、頑張ってほしいと応援している。

 一応今でも、ときどきアイドルたちの活動をチェックしている。ただ、それだけでコンサート行こうとか、新曲買おう、ということにはならないのだけど。

 一推し(だった)彼女のいつか行われるだろう卒業コンサートだけは、行きたいと思っている。

*1:某大型グループのファンで、東京のいわゆる「本店」メンバーは15期までならほとんど分かる